こんばんは。
日本では少子高齢化が進んでおり、建設業を営んでいる社長様においても、従業員の高齢化にお悩みの方も多いのではないでしょうか?
また仕事を進める上で技術をもった従業員は高齢になったからといって簡単に辞めてもらっては困るということで、定年延長して、定年延長前の定年で退職金を支給し、本当に辞めるタイミングで再度退職金を支給するということもあると思います。
従業員に支給する給与と同様に退職金にも所得税がかかります。建設業を営んでいらっしゃる社長様には退職金にかかる所得税を知って頂きたいと思いまして、記事を書いております。
なお、当事務所の代表は行政書士であると同時に税理士でもあります。
退職金にかかる税金の計算方法
税金計算方法の流れ
税金計算は以下のように行われます。説明の便宜上、退職所得金額=課税退職所得金額とし、本来は課税退職所得金額という言葉を使うべきところでも退職所得金額という言葉を使うようにしていきます。
①退職所得金額を計算します。
退職所得金額 = (収入金額(源泉徴収前)ー 退職所得控除額)× 1/2
退職所得控除額は以下のように計算されます。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 (80万円に満たない場合は80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(A-20年) |
② 所得税額 =退職所得金額 × 税率 ー 控除額 で税金を計算します。
ここで、「税率」、「控除額」は課税退職所得金額の大きさにより変化し、以下のようになります。
超 | 以下 | 税率 | 控除額 |
– | 1,950,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 | 3,300,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 | 6,950,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 | 9,000,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 | 18,000,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 | 40,000,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 | ー | 45% | 4,796,000円 |
※この記事を書いている2021年4月時点では実際に払う税金としていわゆる所得税に加えて、復興特別所得税もありますが、今回の記事で言及すべき本筋の税金ではありませんので、説明は割愛させて頂きます。
勤続年数の数え方
入社してから辞めるまでの年数になります。勤続年数の期間が1年未満の端数があるときは、1年に切り上げとなります。また、1度退職金を支給した時には、退職金を支給した時から2度目の退職金を支給するまでの期間となります。つまり、2度目の退職金支給時には退職所得控除額が少なくなりますので、注意が必要です。
所得税法施行令第69条ハに以下の記載があることが↑の根拠です。
ハ 退職所得者が退職手当等の支払者から前に退職手当等の支払を受けたことがある場合には、前に支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間の末日以前の期間は、勤続期間又はイ若しくはロの規定により加算すべき期間に含まれないものとして、勤続期間の計算又はイ若しくはロの計算を行う。ただし、その支払者がその退職手当等の支払金額の計算の基礎とする期間のうちに、当該前に支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎とされた期間を含めて計算する場合には、当該期間は、これらの期間に含まれるものとしてこれらの計算を行うものとする。
終わりに
本日は退職金に係る税金について説明しました。参考になりましたら、幸いです。